2014年04月08日

『赤い雨』に寄せて

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グラス・マーケッツ朗読公演『赤い雨』によせて
池田長十より


「Bはどこへ?」

 小説と脚本の違いは何ですか? 
 そんな質問をしばしば受けます。  
 僕の答えはシンプルに「どちらも同じ」です。どちらも物語を書くという行為には変わりなく、書き始めるまでの準備や、書いている途中の楽しさと苦痛はまったくもって同じです。

 ただ、あえて相違を挙げるとすれば、それは「Bがあるかないか」ということになるでしょうか。
 いえ、別に「B」でなくとも構いません。「2」であってもよいのですが、とにかく、「中間がない」という意味です。

 例えば小説の場合。
「Aが起こったことによりBになり、その結果Cになった」
 よくある物語の構図。Aがあり、Bになり、Cという結末を迎えるという三段階。
 ですが、これが舞台になると、「Aが起こったことにより、結果Cになった」という書き方を僕は好んでしています。

 その理由は簡単で、間のBという段階を飛ばすことによって、物語をよりシンプルに、より明快にしたいと考えているからです。舞台は待ってくれません。読み返しが利きません。だから、出来るだけ大きく二段階の構成を、と僕は思っています。

 ただ、そうなると、少しばかり心配が出て来ます。
 単純になった分、物語の深度が浅くなり、面白みが減るのではないか?
 ――大丈夫です。「B」を書いてはいませんが、消えた訳ではないのです。
 では、間の「B」はどこへ行ったのか?

 それはもちろん「読み手」です。僕が描いていない「B」を、読み手がちゃんと埋めてくれるのです。
 声、リズム、スピード、抑揚、音の高低――朗読という表現が物語を深め、色をつけ、Cという結末へ運んでくれるのです。

 今回の朗読作品『赤い雨』は、とりわけ「B」を書かなかった脚本と言えるかもしれません。その分、読み手の力に頼ることになりそうですが、彼女らがその「B」をどんな風に描いてくれるのか、僕は今、楽しみで仕方ありません。

http://www.glassmarkets.net/rainmaker/index.html
 
posted by 朗読ユニット グラス・マーケッツ at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 朗読公演『赤い雨』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『赤い雨』挟み込みに関して

フライヤーの挟み込みですが、
4月12日(土)10時から14時までの間に、会場(京都府庁旧本館)までお持ちくだされば、こちらで作業を致します。200部です。
ご都合が合えば、お持ちくださいませ。

グラス・マーケッツ一同
posted by 朗読ユニット グラス・マーケッツ at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 朗読公演『赤い雨』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする